みなそこ
新しい住所のお知らせがてら何通かハガキを出したら、
意外な電話がかかってきて、お呼ばれする
時間がなかったからおにぎりを買ったが、
心臓が飛び出そうで、喉を通るわけもなく
後部座席で話をするのが好きだったな、とか
マトンが届くはずだからと聞いて、やっぱりこの人が好き、とか
マトンの油は重いって言ったから丁寧に削いでるのに、
そこまでしなくてもいいよの気に触れる
しばらくにおいのない世界にいたのが、
スパイスとだしの匂いがちょっとわかって、嬉しくなる
とにかくいい気が流れるお家で、そればっかり言ってた
ご飯を食べながら、
大学を選んだようで、実際選んだのは町だったと
たしかに 町の良さに感動して、ぐるぐるしてたんだった
この人は町を選ぶのが本当に上手 そういう勘がある
今回はふたりとも大人になっていたので、運転席と助手席でお話をしたし、
テーブルに向かい合った
君の底 と 私の底
思い返して、
運転もできなかったから、ふたりきりで会うことが難しかったのに、
今はふたりとも車を運転できる
ふたりきりのバカンスが可能、今なら
お礼に、タロットカードを繰る
私の1枚に、私の好きなカードが出る
ジャグリングの、ダンスのカード
人生には踊りが必要らしい
向こうでは、芽吹き・愛の矢のカードが出てた
好きかもなとは思ってたけど、やっぱり好きそう
今ならこの部屋に似合う鍋敷きを編めると思う
遠足とか、旅行とか、本当に苦手で
1回目の癇癪は、突然決まった家族旅行の朝だった
私があんなに意見を変えられないことってほんとうになくて、
今思うと笑えるけど、カツオを食べ損ねたこと、後悔していません
苦手な宿泊旅行を、友人たちが少しずつ塗り替えてくれるような気がする
風みたいに生きていくのがいいんだと思う
それでもやっぱり、遠足の日の朝の不安に共感してくれた人に会いたい
いつか会える日が来ることを願いつつ、それまでは生きててほしいし、
会えた後も生きててほしいし、
会えなくても、生きててほしい
きっと健康に生きてくれてはいないだろうけど、
私が生きてる限り、会える可能性はなくならないと信じています
それまで、どうかお元気で。
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